どたばた山日記(その2)
雄阿寒岳にて ●雄阿寒岳のどろぼう (平成7年8月23日)

 夏期休暇を山三昧で過ごす、これが今回で2回目である。今回は道東方面の山を4泊5日で計画。
藻琴山、摩周岳、武佐岳、西別岳と順調に登ってきた。今日は雄阿寒岳、明日は最後の雌阿寒岳 である。
 雄阿寒岳の登山口にはそれほど広くはないが、駐車場がある。太郎湖、次郎湖を見にくる観光客も
同じ駐車場に止める。午前9時30分に駐車場に到着、観光客も来ていて既に数台しか空きが無い。
やっと駐車して、準備万端、登山開始。今日は晴れ、絶好の登山日和で心もワクワク、もくもくと
登る。途中の登山道では、観光客にも遇う。結構急な登りであったが、汗をかきかきなんとか山頂へ。
山頂ではペンケトー、パンケトーの青々した湖、そして明日登る予定の雌阿寒岳、阿寒富士が見え
素晴らしい眺めである。満足、満足!至福の一時だ!。
ルンルン気分で下り登山口の駐車場に到着した。
 「あれ!何かへんだ」。車のボンネットにいつも妻がお金を入れているサイフ(ただの硬い布にチャ
ックが付いたシンプルなもの)とその上に家のキーが置いてある。「何んでこんなところに??」「車
の鍵はキチントかけた?」と妻。確かに登山に行く時に二人とも電子ロックの確認をした記憶はある。
車の中を覗いてビックリ!。後部座席にダンボールの中にキャンプ道具、着替え、食糧などいろいろな
物を置いていったが、荒らされている。「ど!ど!どろぼうだ!」、「お金はどうした?」、「お金も
すっかり盗られた」。妻は「昨日まではウエストポーチに入れて持って登ったが、お札も汗でよれよれ
になったから車の中に置いていった」とのこと。果たして私のはどうだったのだろう。私のサイフなど
はセカンドバックの中。勿論バックごと無い。その中には、愚かにも「サイフ」のほか「定期入れ」が
入っていたのだ。定期入れの中には「身分証明書(クレジットカードと一緒になったICカード)」
「運転免許証」「定期券」「給油カード」「ウイズユーカード」「テレホンカード」等々。
真っ青!!!!……。トランクの中も全て荒らされていた。その他電気カミソリ、ドライヤー、タンパン
、Tシャツ……。「よく何でも盗っていったなぁ」と感心するほど。
 ただ、家の鍵だけは置いていった。どろぼうに情けをかけられたのだ。まさにプロの仕業 だ!。
お金は、妻「53,000円」、私はいつも小遣いが少ないのが幸いして「13,000円」。計66,000円の被害。
無一文になった。ガソリンも少ないし、帰れないかも…と心細くなる。
とにかく警察へ、ということで釧路警察署「阿寒湖畔駐在所」に被害届けに行く。
警察に行くと「午前中に千葉県の登山者が被害に遭ったばかり」という。また、「あの場所は時々ある」
という。両手の指紋(手の平部分も。もう悪いことはできなくなった)を採られ、警察官は車にどろぼう
の指紋が残っていないか調べている。クレジットカードは盗難に遭ったことを知らせた方がいいとのこと
で、警察電話で会社にとりあえず連絡をとる。お金も一銭も無いので、宿泊予定の「ホテル山浦」へ事情
を話してキャンセルの電話をする。その後、被害届けを詳細に書かされる。
 つらつら想いおこせば、登山口に駐車した時「白いシャツにグレーのズボン。素足にセッタ。角刈りの
40~50才位の男が確かにウロウロしていた。グレーのワゴン車で窓にはレースのカーテンがしてあっ
た。この場所に似合わない何か違和感が感じたのを記憶している。その男がどろぼう?。我々がリ ユック
を背負って登っていったのを尻目に、自分の車のように装いゆっくりと「仕事」をしたのだ。
登山者は出発してから5~6時間も来ないことを知っている知能犯だ。

 憔悴しきっていると、「ホテル山浦」の人が駐在所に来て「お金は無くて良いから、宿泊していっても
良い、また今から帰っても遅くなるし事故があっても大変だ。ガソリン代も貸す」という。
ホテルの親切に甘え、「ホテル山浦」に泊まることにした。
ホテルでは、支配人が親切に迎えてくれ、さらにお金を「2万円」借用する。この時は本当にありがたか
った。二人ともやっと元気が出てきた。
 夕食は「ビール」も飲みながの、笑いも混じったやけくその反省会となった。
帰ってから壊されたフロントドアの修理に17,000円かかり、運転免許証や身分証明書の再発行やらで大損
であった。しかし、どろぼうに感謝!とは言いたくないがこの年になり、多くの教訓を得ることができた。
 お陰?で、その後は貴重品は身に付けて登るようになったのは勿論です。
山では定期券、ウイズユーカードは使えないよね。、身分証明書は熊に見せるわけでないし…。
わかるしょ!

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