どたばた山日記(その4)
トムラウシ山ヒサゴ沼ににて ●目がスカットするトイレ 
(平成10年7月20日)

 日本百名山の一つ「トムラウシ山」に登る時お世話になる「ヒサゴ沼のトイレ」のお話です。
それは、一度使わせてもらったら、一生忘れることの無い印象深いトイレです。
一度は経験する価値はあるのではないかとも思うほどです。
 沼ノ原や旭岳方面からトムラウシに登る時は、美しいヒサゴ沼の避難小屋かテント泊となります。
小屋の横には少し土台を高くした二つの男女兼用トイレがあります。我々は小屋のすぐ前のテント場
でキャンプをし、明日トムラウシに登ることにしました。
 トイレの方を見ていると、みんなトイレから口をタオルで抑えて「ゴホン、ゴホン」と言って転が
り落ちるように出てきます。「相当臭いんだなぁ」と他人事のように思っていました。
 テントを張った後、小がしたくなり、さっそく皆さんが転げ落ちるトイレへ。トイレは木製で風雪
にさらされ結構古い感じがします。ドアをギーーと開けると、板を四角く穴を開け、前に木の板を打
ち付けた簡素なもの。当然汲み取り式です。私が幼小の頃はこんなトイレでしたから驚きはしないの
ですが…。「ゴホッ」!すごーい強烈なアンモニアの匂い。完璧に熟成された匂いだ。そしておおき
な銀蝿がブンブン飛んでいる。さすがに山のトイレだ。息を止めてとりあえず小を終り、トイレから
飛び出す。
 夕食も無事終わり、今度は大の方がしたくなった。行きたくなかったが、生理現象には勝てない。
前回の経験を生かし、タオルを持って突入していった。トイレに入り所定の場所に大をする体勢にな
ると、体中、一瞬にしてニオイが染み付いた感じがして身震いした。目がスカッと涼しくなり、頭が
クラクラしてくる。大なので息を止める時間に限界がある。タオルで口を塞ぐが、あまり効き目がな
く「ツーン」と強烈なニオイが鼻をつく。しかも銀蝿がブンブンと纏わりつく。
こんな時に限ってな
かなか出てこない。あまりにもひどいので大もそこそこに脱出。やぁ凄かった。まさに戦いである。
こんなトイレ生まれて初めてである。
 ヒサゴ沼も最近は登山者の屎尿が流れ、大腸菌が発見されたとの新聞報道がありました。
トムラウシ山は日本百名山の中でも最も原始の姿を残している岳人憧れの山です。
登山ブームで益々登山者が多くなると思われますので心配です。何かいい方法は無いものでしょうか。
いつかは改善され、ヒサゴ沼の水も飲めるようになることを願っています。
全国の皆さんこのトイレに恐れず、トムラウシ山に来てくださいね。

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