トムラウシ山行記(1998.7.20~7.21)


【平成10年7月20日】

 高原温泉から分かれる入口(ヤンベ分岐)にゲートがあるが、今日は鍵がかかっていなかった。石狩川沿いの林道は非常に走り易い。今日は三連休の最終日で、登山口は車で満杯。今日帰った人もいてかところどころ歯抜け状態で運良く駐車できた。今日の天気予報は晴れ、今は曇っているが何か晴れてくるような予感がする。
登山口を5:40出発。今日はヒサゴ沼までの工程である。沼ノ原の入口まで約1時間で到着。少し歩くと広大な湿原となり、立派な木道が続いている。二十数年前は木道は無く登山口から運動靴に履き替え、湿原の踏み跡をペチャペチャと音をたてながら歩いた記憶がある。天気は快晴になってきた。大小のキラキラとした湿原の沼とトムラウシ山がなんとも美しい。後ろを振り向くと石狩岳、ニペソツ山が逆光ながらハッキリ見える。沼ノ原分岐からも快適な木道歩きが続き空気も爽やかで心地よい。タチギボウシは咲き始め、ワタスゲは満開である。大沼のキャンプ指定地は3張ほどテントが設営されていた。沼ノ原を抜け、しばらく歩くと五色の水場に着く。冷たい水でのどの渇きを癒し、100mほどの急勾配を一気に登る。ササやダケカンバ林を過ぎる(一部ブッシュ有り)と五色ケ原の入口に着く。ここからは急な登りもなく、お花畑を左右に見ながら快適に歩く。ミヤマリンドウ、エゾコザクラ、チシマノキンバイソウ、アオノツガザクラなど、みごとな群落が次から次へと迎えてくれる。だんだんお花畑も広大になっていく。五色岳のすぐ下に短い木道があり、水場があった。ここの水も冷たく美味しい。五色岳の前後は結構長いハイマツ帯である。10:30に五色岳に到着。ここまで登り日帰りするパーティがビールで乾杯をしていた。みんな楽しそうである。五色岳山頂からは忠別岳が一段と大きく見え迫力がある。五色岳のハイマツ帯を過ぎると再び広大なお花畑、五色ケ原最大の見せ場である。分岐を右に折れ化雲岳へ向かう。化雲岳で写真を撮りヒサゴ沼へ向かう。今年は例年より雪融けも早く4月~6月が暑かったこともあり花の開花時期が異常に早い。いつもは満開のはずのハクサンイチゲは完全に花期は過ぎており、また、チングルマも終わりかけで少し寂しかったが、いつも見れない花を見ることができて良かった。神遊びの庭にも水は無く、どこだか分からないまま過ぎる。ヒサゴの分岐を左に折れ下っていく。この下りのお花畑もみごとである。午後1時頃ヒサゴ沼にに到着。ヒサゴ沼にテントを張り、明日も天気が良くなることを願う。

【平成10年7月21日】

 朝3時起床、4時20分出発。ひんやりとした朝、天候はよさそうだ。テントも少し濡れ重たくなったが、全部かついでサゴのコルへ向かう。ヒサゴ沼からコルへ登りは雪渓で、後ろを振り向くとヒサゴ沼も小さく見える。ヒサゴのコルでザックを置き、軽身(ディバック)でトムラウシへ向かうことにした。少し登るとトムラウシの山頂が見え、写真を撮る絶好の場所に来た。あれ、シャッターが切れない。電池切れだ。電池の予備はヒサゴのコルのザックである。ハアハアいいながら電池を取りに戻った。トムラウシの山頂で電池が無くなったら…と思うと不幸中の幸いだった。天候が良くトムラウシの双耳峰が青空に美しく映える。登山道の周りはこんもりしたお花畑と岩、そし小さな沼、まさに日本庭園というの名がピッタリである。日本庭園の中心部である天沼から巨岩帯、そしてロックガーデンと過ぎ、北沼に着く。もう一息で山頂である。山頂へは沼の左端を通り岩場を登っていく。7時20分に山頂に着く。山頂は大きな岩塊が多くあるが、結構広い。青い空に浮かぶ雲海と山々、本当に息をのむすばらしさである。特に雲海から突き出た十勝岳連峰がよかった。日本百名山の一つであるこことから、10人ほどの東京のパーティと一緒だったが皆さん感激していた。「ナキウサギのように泣きたいほど嬉しい」と東京の人が言っていた。8時に下山開始。途中でナキウサギは何回も見ることができた。ヒサゴのコルでは、シマリスが近くまできで餌をねだるのにはビックリした。ヒサゴのコルで重いザックを背負い、少し辛い登りとなる。化雲岳の分岐を右に折れ、五色ケ原へと進む。永遠と続く広大なお花畑は日本一という。チングルマ、エゾコザクラ、アオノツガザクラがみごとに咲きみだれている。今度はハクサンイチゲの満開の時来たいものだ。足にも相当疲れががきて惰性で歩いている。大沼のキャンプサイトで休憩し、ラーメンを食べる。登山者は我々二人だけで少し寂しい。雲も多くなりトムラウシも見えない。16時20分に登山口へ無事到着する。丁度山の中を12時間歩いたことになる。多少短いが丈夫な足に感謝!(ヤンベ分岐のゲートは鍵がかかっていた)

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