ウペペサンケ山行記【平成10年9月20日】


 ウペペサンケ山がこんなに素晴らしい山だとは思わなかった。糠平コースは、1399mピーク、1610mピーク、糠平ピーク(糠平富士)とピーク毎に新鮮な眺望となり、その変化がいい。特に糠平ピークから見る茶褐色のニペソツ> は迫力満点だ。朝5時過ぎにのかびらキャンプ場を出発。国道273号線からの林道入口に立派な標識があるのですぐ分かる。第一登山口までは2km余である。この登山口の少し手前でハプニング。愛車の右前輪がパンクしてしまった。パートナーの力強い支援を得て、ホィールがオレンジ色の目立つスペアータイヤに取り替える。昨日キャンプ場で得た情報のとおり、第二登山口までの林道に土砂崩れが発生し、第一登山口で赤いテープにより通行止めをしてある。今日はニペソツも土砂崩れで林道は通行止めとのこと。車2台がその後に来て「銀泉台でも行ってみよう」とUターンしていった。林道歩きは天気も良く軽快である。途中コクワの熟した実をいただく。山歩きをしてから初めての経験である。約1時間ほど歩いた所で土砂崩れが発生していた。その後10分ほどで第二登山口に着く。思っていたより林道歩きが短くホットした。
 第二登山口から水場を経て樹林帯の中を登る。ダケカンバの9割が葉が落ち、ナナカマドも赤くならず葉が落ちてしまっていて、今年の紅葉はサッパリである。でも今日は天気が良いので期待できる。やがて急坂を登ると1399mピーク(標識は1400m)に着き、全く展望のきかない樹林帯から一気に大展望が開けた。天候は雲がほんの少しだけで、快晴である。十勝、日高、夕張、阿寒の山々、糠平湖、そしてこれから登る1610mピークが目の前に見える。1399mピークから一度下る。ポカポカ陽気で気持ちが良い。その後約250mの辛い登りとなる。背後から太陽が照り付け、夏の登山のように暑い。じっと我慢して登ると1610mピークに出る。ここでウペペサンケ山の全貌が一気に現れる。ここから見る糠平富士は風格があり素晴らしい。このピークから少しアップダウンのあるハイマツ帯の尾根を歩く。やがて岩があり、菅野温泉コースの分岐に出合う。ここを過ぎてひと頑張りすると糠平富士となる。さえぎるものは何もない大パノラマで疲れも吹き飛ぶ。特に茶褐色の迫力あるニペソツには圧倒される。大雪山はニペソツの奥に見え、石狩岳、クマネシリ山塊もみごとである。ここの標識が「ウペペサンケ山頂」となっていて一瞬間違えたかと思ったが、ここは1834.6m地点で、本峰はあと約1時間ほど歩かなければならない。登山者は我々二人だけと思ったが、遠く本峰に人が見える。オニギリを食べノンビリと休む。
 本峰は一度大きく下って、アップダウンを繰り返し狭い稜線を慎重に歩く。途中で菅野温泉西コースから来たという女性に遇う。西コースはウペペの最短コースで、旧夏山ガイドブックには載っていないとのこと。やがて本峰に到着。山頂は狭い。眺望は、忠別岳が見えるようになった程度で、糠平富士と殆ど変わらない。20分ほど休み下山することとした。糠平富士に着くと4名の登山者が食事をとっている。我々と同じ糠平コースから登ってきた人が2名、あとの2名は菅野温泉コースとのことである。登山者の一人は、土砂崩れの手前まで車で来たという。第二登山口の赤いテープは一度はずし、また結んできたという。ここでかっこいいニペソツの山容と別れ、糠平富士を下山する。菅野温泉コースの分岐で5人ほどのパーティに遇う。もう遅いので引き返すというリーダー。辛さが良くわかる。1610mピークの下りもあっと言う間に降りる。1399mピークの登りで「クロウスゴ」の自然の恵みを頂戴する。こんなに食べたのは初めてである。疲れているので本当に美味しい。1399mピークで小休止をとり、本格的な下山となる。さすがに足が笑ってきて疲れてきた。下山途中で休憩している夫婦に遇う。最終水場で冷たい水を飲み、喉の渇きを潤した。第二登山口にやっと到着し、ここから約1時間30分の林道歩きである。土砂崩れ地点が過ぎると3台の車が止めてあった。単調な林道を足を引きずりながら歩いていると、さきほど休憩していた夫婦の車が来て、「乗ってください」という。足も疲れていたので、そのご好意に甘え乗ることとした。人(遠軽在住の若い夫婦)の親切のありがたさが身にしみ嬉しかった。第一登山口で降り、自分達の車で帰路についた。

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